神奈川県弁護士会所属市民総合法律事務所は、横浜に設立された様々な案件を取り扱う法律事務所です。

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論文

中日両国の比較を踏まえた日本のマンション法制度の現代的問題の紹介

弁護士 伊藤正篤

第1 はじめに

1 「爆買い」の流行と中国国内における日本のマンションに対する関心の高まり

2015年11月現在、日本では、「爆買い」という言葉が2015年の新語・流行語大賞にノミネートされています。

流行語大賞とは、その年1年間に多くの人の話題に上った新語や流行語を選び、その言葉に関わった人物・団体を表彰するものです。過去には政治的スローガンやスポーツ選手の名言、テレビドラマのセリフ、お笑い芸人のギャグ等が選ばれています。毎年、年末近くになると流行語大賞の候補が10数個ノミネートされ、世間では、ノミネートされた言葉のうち、自分はどの言葉を知っている(あるいは知らない)とか、今年の大賞予想はどれだと思うかなどが話題に上ります。このように、流行語大賞は、一年間の世相を表す話題として人気を博しています。

2015年の大賞候補にノミネートされている「爆買い」とは、春節や花見シーズンなどに中国人観光客の方々が日本国内で大量に買い物をする現象のことを指します。「爆」という言葉は、この場合爆発的という意味で使われており、買い物の量の多さが急激的であること、中国人観光客の方々が急激的に買い物をして行かれることを表しています。

「爆買い」は日本経済に大きな好ましい影響を与えます。特に今年はこの言葉がマスメディアで繰り返し放送され、多くの人に耳馴染みのある言葉となりました。今年の春節期間中に日本を訪れた中国人観光客は45万人に上り、消費額は66億元(約1140億円)を記録したとされます。爆買いの対象は高額商品から日用品まで様々で、最近はマンションもその対象となっているとの報道もあります。

中国人による日本のマンションの購入は、東日本大震災の影響で落ち込んだ2012年を除き右肩上がりで増加しているそうです。もっとも、外国人が増加すると日本人によるマンションの管理組合の運営が難しくなるとして、販売数に制限をかける不動産販売業者もいるようです。

2 本セミナーの目的

このように、2020年に東京五輪も控えた今、中国国内においても日本のマンションに対する関心が高まっている傾向にあることを踏まえ、本セミナーでは、中国と日本のマンション法制度の比較をしつつ、日本のマンション法制及びマンションを巡る現代的な問題を簡単に紹介することを目的とします。

第2 マンション関連法規

まず、マンションに関連する法規につき簡単にご紹介致します。初めに、中国のマンションに関連する法規についてです。

1 中国

物権法、城市房地産管理法、物業管理条例、城鎮国有土地使用権出譲及転譲暫行条例、住宅専項維修資金管理弁法、業主大会及業主委員会指導規則、房産測量規範、中国国内の関連法規は、2007年に施行された物権法第70条から第83条を中核として、その他、レジュメに記載の法規が存在するかと思います。日本を含む諸外国のマンション法制度と比べると、物権法は簡素な規定のみを設けており、これを補充するために、複数の別の法律で詳細な規則を設定しているという特徴があります。

すなわち、中国法においては、敷地利用権については城市房地産管理法及び城鎮国有土地使用権出譲及転譲暫行条例、管理組合と管理会社の権利義務については物業管理条例、修繕金の使用と管理については住宅専項維修資金管理弁法、自治管理規則について業主大会及業主委員会指導規則、住戸の専有部分と共用部分の確定については房産測量規範がそれぞれ規定しているようですが、日本法においては、これらの大部分は区分所有権法又は管理規約において定められています。

2 日本

次に、日本のマンション関連法規です。

(1)建物の区分所有等に関する法律(「区分所有法」)

これはマンションに関する基本的な事項を定めた法律で、1963年に施行され、1983年、2002年、2004、2005、2006、2008、2011年と度々改正されています。

日本では、中国と比べると、同じ棟の区分所有建物に住んでいる人の文化水準や経済力の差は小さいと言われます。また、中国人が比較的個人主義傾向が強いと言われるのに対して、日本人は集団的意識が強いとも言われます。しかし、マンションには専有部分だけでなく共用部分がある以上、マンションの管理に関するルールが必要なことは当然であり、日本でも管理に関する紛争が少ないわけではありません。その管理等のルールを定める最も基本的な法律が、この区分所有法です。

ここで、日本におけるマンションの歴史を一部ご紹介します。日本では、1963年に区分所有法が施行されたことにより、マンションに関する法律上の位置づけが明確となり、初めてのマンションブームが起きました。また、合わせてマンションの登記制度が整備されたことによって住宅ローンを利用したマンションの購入が可能になり、1968年頃から第二次マンションブームが起きました。最近では、特に今年は都心部でマンションブームが起きています。

中国でも改革開放以来、当時の鄧小平主席や国務院の通知などにより住宅取得ブームが起き、現在も都市部のマンション需要は非常に高いと聞いています。

なお、今回私が本セミナーに向けた調査をする中で興味深く感じた情報を一つご紹介しますと、中国では、家庭と家を非常に重視するという伝統があり、中国人は、婚姻する前に住宅を購入する、住宅を購入して準備してから婚姻するということです。これはとても興味深く感じました。なぜなら、日本では婚姻後に住宅を購入するカップルが大多数だからです。私は独身ですが、先に住宅を購入しなければならないとすると、なかなか結婚する決意ができないように思います。

(2)管理規約、マンション標準管理規約

管理規約及びマンション標準管理規約については後に詳しくご紹介しますので、ここでは区分所有法との関係についてお話します。

日本の区分所有法は、基本的な事項だけを法律で決め、それぞれのマンションの個別具体的なルールは区分所有権者が管理規約で定めるという考え方を採用しています。つまり、管理規約は法律ではなく、区分所有権者が定める個別具体的なルールです。また、管理規約を定めるにあたって参考となるように政府が作成しているモデルをマンション標準管理規約と言います。

日本の区分所有法は、管理規約の設定時期について、区分所有関係の成立後に区分所有者の集会において設定されることを想定しています。しかし、実態としては、多くの場合、管理規約は分譲者(デベロッパー)によって分譲の時に制定されています。これは、中国と同じです。ただ、日本ではこのマンション標準管理規約があり、内容はほとんどマンション標準管理規約と同じものが作られるので、中国と比べると、管理規約の制定までの時間は短いとも言われます。

(3)マンションの管理の適正化の推進に関する法律(マンション管理適正化法)

日本では、多くの場合、マンション管理を実際に行っているのはマンション管理を業とする会社(マンション管理会社)です。区分所有権者がマンション管理会社に対して管理業務を委託しています。

マンション管理適正化法は、マンション管理会社を登録制とすることによって、マンション管理を適正に行わせようとする法律です。

これは2001年に施行されています。

(4)被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法(被災マンション法)

これは、1995年1月に起きた大規模な震災(阪神淡路大震災)からの復興の必要性を契機に、災害で全部滅失した区分所有建物の再建をしやすくするための法律です。すなわち、建物が全部滅失したマンションには区分所有法が適用されないことから、マンションの再生には区分所有者全員の同意が必要になってしまうという問題があり、この法律が立法されました。

当時の震災から、今年の1月17日で20年が過ぎました。阪神淡路大震災は早朝に起こり、揺れによって電気やガスの設備が破壊され、大きな火災が起きました。この経験から、建物の耐震基準が見直され、また、ガスは一定以上の揺れが起きると自動で停止するように設備が整えられました。残念ながら2011年の3月に起きた東日本大震災では大きな被害が出てしまいましたが、東日本大震災の後は、被災マンション法及び次にご紹介する建替え円滑化法が改正され、マンションの再生方法として、マンションの建て替えではなく、区分所有関係を解消し、敷地を売却するという制度が新設されました。

日本は地震災害の都度、こうした見直しを行い、建物の安全性や災害後の再生力を高めています。なお、東日本大震災については、中国の方々からも、当時の胡錦濤国家主席の記帳をはじめとする数多くの温かなお見舞いと激励、緊急援助隊、緊急援助物資といった支援や義援金を頂いたことを一日本人としてこの場をお借りして感謝申し上げます。

(5)マンションの建て替えの円滑化等に関する法律(建替え円滑化法)

区分所有法には、特別の多数(区分所有者の頭数および議決権の各5分の4以上の多数)によって、建替えを決議できることが規定されています。ただ、中国の物権法と同じく、区分所有法に規定されているのは決議をするところまでであり、決議がなされた後の建替事業の事業主体や、事業を進めるためのルールの定めはありません。また賃借人等の独自の権利主張を制約する仕組みも設けられていません。

そのため、かつては、建替え決議がなされても、内部的に意思決定が円滑に行われず、また外部的にも金融機関からの融資や工事請負契約の締結がうまく進められなかったことなどにより、建替事業の実施は困難でした。

そこで、建替事業を円滑に進められるように、この建替え円滑化法が制定されました。これによって、法人格をもつ建替事業の事業主体を設立することができるようになりました。建替事業の事業主体に法人格が付くと、信用力が増すので資金調達が容易になります。また、建築工事請負などの契約関係も明確になるため、外部的な関係の法的な安定性を確保できることになります。

第3 マンション法制度の比較

次に、中国と日本のマンション法制度について簡単に比較してご紹介します。

1 土地と区分所有建物の関係

建物区分所有権制度について、中国法も日本法も不動産私的所有権として物権的構成によって保護している点は同じですが、中国法では居住用地としての敷地の土地使用権を70年に制限しているのに対し、日本法では土地についても絶対的所有権を認める点が異なります。これは両国の政治・経済制度上の違いに基づくものです。

なお、同じく政治制度上の違いに基づくものとして、中国法では、最初の区分所有者集会の招集等に政府部門の指導と協力が必要とされているのに対し、日本法ではこのような規定はないという違いもあります。

2 管理主体、管理形式、集会決議
(1)区分所有者団体についての規定

マンションの共用部分の管理方法としては、各区分所有権者が他の区分所有権者と協力して行う(法人格を認めない)方法と、各区分所有権者が法人格のある団体を設立して、その団体に行わせる方法があります。

中国法では区分所有者団体に関する規定は無く、法人格を有する区分所有者団体は存在しないようです。これに対して日本法では、自動的かつ強制的に区分所有者全員で管理組合という区分所有者団体を構成することになっており、また、区分所有者の選択により団体の法人格が認められるか否かが決まるという違いがあります。区分所有者団体に法人格を付与する場合、権利義務の帰属を明確化できる、団体財産と個人財産の区別を明確にできるというメリットがあります。

(2)管理形式

中国では、専門的な管理会社によって集合住宅全般の管理運営がなされるのが通常であるけれども、管理費用の支払、専有部分の修繕請求などについては、区分所有者団体内の理事会を通さず、あるいは理事会が存在せず、区分所有者個人が管理会社に直接行うことがあると聞いています。これに対して日本では、やはり具体的な管理業務は専門的な管理会社に委託されるのが通常ですが、区分所有者団体の中で選任された理事により理事会が構成され、その理事会が管理主体となることが多いと思います。

(3)集会決議要件等

集会決議は両国とも普通決議と特別決議の二種類が区別されています。普通決議は、区分所有者数と議決権の割合の過半数の賛成で成立となる点が同じです。特別決議は、中国では区分所有者数及び議決権の各3分の2以上の多数によって成立するのに対し、日本では各4分の3以上の多数によって成立することとされており、日本の方がやや厳格です。特に、日本では区分所有建物の建て替えに関しては各5分の4以上の多数の賛成が必要とされています。

なお、現在、両国とも、都市部では区分所有形式の分譲集合住宅が投資目的で購入され、賃貸されることが一般的となっています。中国法では賃借人が集会に参加する権利等、賃借人の権利義務が明確に規定されていないと聞いていますが、日本法では、賃借人にも管理規約及び集会決議の効力が及ぶこと、また、利害関係がある場合には集会に出席して意見を陳述する権利があることが法律上定められています。

3 専有部分と共用部分の区分

(1)区別の意義

「専有部分」:区分所有権の目的となる法的に区分された建物部分

「共用部分」:①専有部分に属さない建物の部分(廊下、エントランス、屋上、外壁)、②専有部分に属さない建物の附属物(ガス設備、水道設備、エレベーター設備)、③規約共用部分

日本の区分所有法は、一棟の建物を「専有部分」と「共用部分」とに分け、前者について成立する所有権を「区分所有権」とし、後者は区分所有者全員の共有としています。このような区分を設けている点では、両国で異なるところはありません。

なお、専有部分とは、区分所有権の目的となる法的に区分された建物部分のことをいい、共用部分とは、①専有部分に属さない建物の部分(廊下、エントランス、屋上、外壁)、②専有部分に属さない建物の附属物(ガス設備、水道設備、エレベーター設備)、③規約共用部分をいいます。

一棟の建物について、専有部分と共用部分という区分を設けている点では、日本と中国とで異なるところはありません。

(2)専有部分・共用部分の範囲の差異

住戸内の耐力壁以外の間仕切壁、内壁、バルコニー

玄関扉、窓枠、窓ガラス

専有部分の範囲については両国で違いもあります。

中国では住戸内の耐力壁以外の間仕切壁、内壁、及びバルコニーは専有部分とされ、また、玄関扉、窓枠、窓ガラス等が専有部分とされていますが、日本ではこれらはすべて共用部分です。

日本では、中国と異なり、スケルトン渡しの方法は一般的ではなく、ほとんどの集合住宅では住戸購入時に既に内装工事が行われており、これを区分所有者が変更することはできません。また、例えば共用部分であるバルコニー部分について、外観に変更を生じさせるような形で改造をすることはできません。例えばバルコニーを改造して温室を作ったことが問題となったケースがありますので、もし日本でマンションを購入し、バルコニーで温室を作りたいと思っていらっしゃる方がいたら、ぜひ注意されると良いかと思います。

4 管理規約

(1)管理規約の意義及び性質等

集合住宅の管理規約は、区分所有者の共同利益を測り、集会の決議で決められる共同生活に関する詳細な規則です。

管理規約の設定について、中国では、物権法第76条で管理規約の存在を想定してはいるものの、その設定の方法や内容は明確にされておらず、物業管理条例第22条で原始管理規約を分譲前にデベロッパーが作成すべきと定めているようです。これに対して日本では、法律上、区分所有者が集会を招集し、特別決議によって管理規約を定めることとされていますが、実際には、分譲時にデベロッパーが作成した原始管理規約を区分所有者全員に提示し、書面合意を得た上で管理規約として成立させてしまうという方法を採ることが通常です。そのため、両国で大きな差異はないものと思われます。

なお、管理規約の変更は、中国の場合は普通決議、日本の場合は特別決議で行うこととされているという違いがあります。

(2)マンション標準管理規約の概説

日本では管理規約の参照モデルとして、政府が、マンション標準管理規約というものを作成していることは先にご紹介したとおりです。中国でも、全国的ではないにせよ、地方において標準管理規約が設けられていると聞いています。日本では、ほとんどのマンションにおいて、このマンション標準管理規約を参考に規約が作成されていると思われます。最新版のマンション標準管理規約は政府・国土交通省のホームページからダウンロードすることができるようになっています。

マンション標準管理規約は、マンションのタイプに応じて3種類が用意されており、それぞれ単棟型、団地型、複合用途型と呼ばれます。単棟型は最も標準的なマンションであり、分譲された住宅専用の1棟の建物で構成されるタイプのマンションを対象としています。団地型はそのマンションが複数棟あり、敷地の土地及び附属施設が区分所有者全員の共有となっているタイプのマンションを対象としています。最後に、複合用途型は、住居と店舗が併存するタイプのものです。

(3)【事例紹介】マンション管理規約の「コミュニティ活動条項削除」
「地域コミュニティにも配慮した居住者間のコミュニティ形成に要する費用に管理費を支出することができる」旨の規定の拡大解釈・運用の誤解

ここで、ひとつ日本の最新の事例をご紹介します。

現在のマンション標準管理規約には、「地域コミュニティにも配慮した居住者間のコミュニティ形成に要する費用に管理費を支出することができる」旨規定されています。「コミュニティ活動条項」と呼ばれるものです。これは、分譲マンションにおいて、居住者間のコミュニティ形成は、実際上、良好な住環境の維持や、管理組合の業務の円滑な実施のためにも重要であることに鑑み、2004年に追加された条項です。

しかしながら、最近では、この条項が拡大解釈や運用の誤解につながっているとの指摘があり、削除する方針が示されています。具体的には、例えば、マンションで行われるスポーツや音楽などのクラブ活動やサークル活動、あるいは交際費に管理費を充てるとか、マンションの管理費で開催するマンション敷地内の夏祭りに、マンション住民だけではなく、マンションの近隣住民も参加させるなどのケースがあり、区分所有者から疑問の声が上がっているのです。

管理費の問題は、特に最近流行の超高層マンションで顕著になります。というのは、超高層マンションでは最上層階と下層階では価格が4~5倍違う物件も珍しくは無く、区分所有者間での所得層が大きく異なることや、管理費等の負担金の金額が、基本的には上層階か下層階かではなく専有面積割合で決まるため低所得の区分所有権者には負担が重い場合があることなどから、区分所有者間での合意形成が難しい場合があるからです。

なお、管理費の負担金額は今のところ専有面積割合で定めることで変更はありませんが、集会での議決権につき、現在は床面積割合又は一住戸一議決権とされているところを、今後は住戸の価値割合によって議決権割合を設定することを検討すべきとの意見が出てきています。

5 集合住宅の再生

(1)決議要件等

中国の物権法では、住宅の修繕、改良、復旧等に関する権利と義務は定められていないようです。また、集会の特別決議、すなわち3分の2以上の多数により建て替えを決定すること自体はできるとされていますが、建て替えプロセスにおける事業の流れや、区分所有者の合意形成プロセスについては規定されていないかと思います。

日本法の場合、修繕行為を含む一般の共用部分の管理は普通決議により行い、改良や復旧は特別決議により行い、建替えについては5分の4以上の多数によって決議することとされています。

(2)【事例紹介】マンション傾斜問題

神奈川県横浜市において、大型マンションが2cm傾いていることが発覚。原因は基礎工事の手抜き。現在、マンションの所有者と販売業者との間で建て替えを前提に補償について話合いが行われている。

最後に日本の最新の事例をもう一つご紹介します。

今年の5月、6月頃、中国の貴州省においてマンションの倒壊があったという報道に日本でも接しましたが、今年は、我々横浜弁護士会の所在地でもある神奈川県の横浜においても、今年の10月14日、大型マンションが2cm傾いていることが発覚するという事件がありました。原因は基礎工事の手抜きです。具体的には、杭の一部が強固な地盤に届いていない、つまり必要な深さまで届いていないのに届いていることにしたというものです。現在、マンションの所有者と販売業者との間で建て替えを前提に補償について話合いが行われていますが、先にご紹介したとおり、立替えには区分所有者の5分の4以上の賛成というとても厳しい要件が課せられていますので、現時点では交渉が難航することが予想されます。

以上、中国と日本のマンション法制度の比較をしつつ、日本におけるマンション法制及びマンションを巡る問題を簡単にご紹介しました。本セミナーが、僅かにでも中日両国の友好と発展に寄与する一助になれば幸いです。ご清聴ありがとうございました。

以上

【参考文献】

・権承文著(2008)「マンション管理制度の日中比較」(千葉大学人文社会科学研究16号)

・権承文著(2008)「中国建物区分所有権制度の法的考察」(博士論文 千葉大学)

・権承文著(2010)「中国建物区分所有権法の一考察」(千葉大学法学論集25巻2号)

・高健著(2013)「中国建物区分所有法制度の構築過程に関する研究」(博士論文 新潟大学)

・何昕、花里俊廣著(2013)「日中比較による現代中国の集合住宅における区分所有権及び住宅管理法制度の考察」(日本建築学会計画系論文集78巻687号)

・国土交通省マンションの新たな管理ルールに関する検討会報告書(2015)


※この論文のWordファイルは[ こちら ]からダウンロードできます。

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