あなたの家族や身近な友人が突然,警察に逮捕されてしまった。
警察に逮捕されてしまったあなたの大切な人は,数ヶ月間以上も釈放されない可能性もあります。
長期間身体拘束がされてしまった場合,会社を解雇されたり,学校を退学させられたり,家族の経済的基盤が失われることにより家庭崩壊につながってしまったりなどの重大な問題が生じかねません。
身体拘束されてしまった刑事事件においては,一刻も早く身体拘束から釈放されるために,出来る限り早い段階から弁護人を付け,弁護活動を行うことが重要です。
刑事弁護Q&A
捜査機関(警察等)が被疑者(捜査機関から犯罪の嫌疑を受けている者)を逮捕した場合、捜査機関は逮捕の時から72時間以内に被疑者を引き続き身体拘束(「勾留」といいます)するのか、釈放するのか決めなければなりません。
被疑者が勾留される場合、その期間は原則10日間ですが、さらに10日間延長されることもあります(特殊な事件の場合は、さらに5日間の再延長もあり得ます)。 勾留期間が終わる前に、検察官が被疑者の処分を決めます。検察官が決める処分は、公判を請求する(いわゆる刑事裁判となる)場合、しない場合とに大きく分けられます。 検察官が公判を請求しなかった場合、被疑者はその時点で釈放されます。検察官が公判を請求した場合は、原則としてその後も身体拘束が続き、裁判で無罪判決、あるいは有罪でも執行猶予付きの判決が言い渡され初めて釈放されます。
但し、判決前でも、保釈という手続により釈放されることはあります。詳しくはQ5をご確認ください。
検察官が勾留の請求をしない、あるいは検察官から勾留請求がされても裁判所が勾留を認めなければ早期に被疑者が釈放されることはあり得ます。勾留の決定がされても、勾留の決定に対する不服申立(準抗告)が認められれば、その時点で被疑者は釈放されます。
検察官は、被疑者に犯罪の嫌疑がある場合であっても、被疑者の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯行後の状況など様々な事情を考慮して、公判を請求するかどうかを決めます。 そこで、被疑者にとって有利な事情を検察官に早期に説明することによって、検察官に早期に公判を請求しないという処分を決めさせることが可能になります。
不起訴処分と略式命令請求があります。不起訴処分、略式命令請求とも処分決定日に身体が釈放されるという点では同じですが、処分の内容には大きな違いがあります。
略式命令申立がされた場合、裁判所は、公判を開かずに、検察官の提出した書面だけに基づいて被疑者の有罪無罪を認定し、罰金刑等を科します。 従って、検察官から略式命令申立されて、その結果、裁判所から罰金刑等を言い渡された場合、被疑者は有罪となり、前科がつきます。しかしながら、被疑者が被疑事実を認めている場合、略式命令請求処分をされ前科がついてしまったとしても、公判を請求された場合に比べ早期に被疑者が釈放されますから、検察官に働きかけて、公判請求ではなく略式命令請求にしてもらうことは大きなメリットはあります。 他方、不起訴処分は、裁判所に対し、被疑者について裁判所の有罪、無罪の審理を求めないわけですから、当然、被疑者は逮捕された事実について有罪との認定はされず、前科はつきません。
もっとも、被疑事実が明白な場合は、不起訴処分の中でも「起訴猶予処分」となり、この場合は「前歴」として記録に残ります。
保釈の請求を裁判所に行い、これが認められることで被告人を釈放することが可能です。保釈とは、保釈保証金の納付を条件として、被告人の身体拘束を解く手続です。なお、保釈を認めるかどうか、保釈保証金の金額をいくらにするかは、裁判官が検察官からの意見を聞いた上で判断します。
検察官により公判請求をされた後であれば、いつでも、何度でも可能です。一度保釈の請求をして認められなかった場合でも、その後状況が変わった後に請求をすることにより、認められることもあります。公判請求をされる前は保釈の請求をすることはできません。
逮捕後勾留決定前の被疑者は、弁護人又は弁護人となろうとする者以外の者とは、一律に接見が許されていません。
勾留決定後は、「接見禁止」処分がなされている場合を除き、被疑者は原則1日1回、警察官立ち会いのもと、概ね15分程度第三者と面会をすることは出来ます。1日1回ですから、誰かが1回被疑者と面会をしてしまったら、その日は被疑者は誰とも面会は出来ません。
また、捜査中であることを理由に1日1回の面会ですら断られてしまうことも少なくありませんが、弁護人であれば、被疑者に対し1日に何度でも接見は可能ですし、また時間外の夜間や土日・祝日の接見も可能です。
接見禁止とは、弁護士以外の第三者との面会・書類の授受等を、全面的ないし個別的に禁止することです。弁護士以外の第三者との面会等を全面的に禁止する場合や、家族等以外との面会を個別的に禁止する場合等があります。
接見禁止処分に対する不服申し立て(準抗告)が認められれば面会は可能です。
弁護人以外の者との面会を全面的に禁止されている場合に、その一部だけが解除される(例えば、家族との面会は認める等)こともあります。 また、検察官が処分を決めるまでの勾留で接見禁止決定が出されている場合でも、検察官が公判を請求した場合には、接見禁止が解除されることも多くあります。 検察官が公判を請求した後も、接見禁止が継続するかは、当初の接見禁止決定に「公訴提起まで」という期限がついているか否かによります。
捜査機関からの任意同行を拒むことは出来ますし、警察に出頭した場合でも、いつでも退去することは可能です。しかし、正当な理由なく任意同行を拒み続けた場合、逮捕の必要性があるとして逮捕されてしまう危険性もありますので注意が必要です。
検察官が処分を決めるまでの手続・流れは、未成年も成人も原則として違いはありません。
もっとも、少年事件の場合には、通学の問題もありますし、何よりも精神的に未成熟ですから、成人事件よりも早期の釈放が要請されるというべきです。 なお、少年事件の場合、検察官が決める処分は、全件家庭裁判所送致処分になります。家庭裁判所に送致された後の手続については、当事務所のホームページの少年事件Q&Aをご参照下さい。
文責:織田 慎二
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