交通事故についてよくあるご質問を、質疑応答形式で掲載しています。ご参考になさってください。
交通事故
直ちに運転を停止した上で、①負傷者の救護(必要に応じて救急通報)、②道路上の危険防止措置、③警察への報告を直ちに行って下さい。
負傷者の救護を行わない場合、道路交通法上の救護義務違反(いわゆるひき逃げ)又は刑法上の保護責任者遺棄罪等により厳しく罰せられることもあります。
また、自分が加入する「保険会社」又は取り扱い代理店へも直ちに連絡し、「事故の報告」をして下さい。例えば、対人事故のケースで、事故発生の日の翌日から60日以内に保険会社が事故の通知を受領しなかった場合等には、保険金支払がなされないこともありますので、注意が必要です。
加害者は、(1)刑事上の責任、(2)行政上の責任、(3)民事上の責任を各々負うことがあります。
(1)刑事上の責任としては、事故の態様等によって、過失運転致死傷罪(7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金)、危険運転致死傷罪(15年以下の懲役。致死の場合は1年以上の有期懲役)等の事故そのものに基づく責任のほか、事故後の救護義務違反等として、A1で述べたような刑事上の責任が発生する場合があります。
これらの刑事上の責任は成人であれば、検察官が起訴するかどうかを決め、起訴された場合は裁判所が刑罰を判決として言い渡すというのが一般的な流れです。有罪となった場合は、いわゆる前科が付くことになります。 刑事手続においては、逮捕・勾留されることもあります。刑事弁護活動については、可能な限り早い段階で弁護士に相談することが望ましいと言えます。
(2)行政上の責任としては、公安委員会から免許取消、免許停止等の処分を受けることがあります。刑罰ではありませんが、厳しい制裁処分といえます。
(3)民事上の責任として、加害者の過失(事故を起こしたことについての落ち度)の程度や被害者の被った損害の程度に応じて、被害者側に対して損害賠償義務(賠償金を支払う義務)を負うことになります。
損害賠償義務の内容としては、大まかに言えば、被害者側の治療費、休業損害、逸失利益、慰謝料、車両の修理費等の物損等が挙げられます。これらの賠償義務の問題を解決するためには、利用出来る損害保険を利用することはもちろんですが、あわせて弁護士へのご相談をお勧めします。
まず、負傷されていれば救護を受けるのが先決ですが、可能な状態であれば、後続車等に対する道路上の危険を防止する措置を取り、その上で、出来るだけ速やかに「警察に連絡」(110番通報)をして、「事故の報告」をして下さい。
加害者側だけでなく、被害者側(車両の運転者又は乗務員等)にも、原則として警察への事故の報告義務があります。警察への届け出をしないと、後々の手続で必要になる「交通事故証明書」も発行されませんし、事故の内容に争いが生じた場合の証拠が非常に乏しくなりますので注意が必要です。
また、少しでも怪我がある場合には、「物損事故でいいですか?」と言われても、「人身事故」として届け出るべきです(後々の警察の捜査の内容にも影響が出る可能性があります)。 負傷等の状況にもよりますが、後々のために、現場で、加害車両の「ナンバー」(下4桁の数字だけでなく、プレートに記載された文字全て)や、加害者の「免許証」、「連絡先」、加害者側の自賠責保険や「任意保険」の保険証券等(保険会社名や証券番号)、 更には加害車両の車検証(運転者と所有名義人が異なる場合はその関係)も確認出来れば、しておくことが望ましいです。
また、事故の「目撃者」がいた場合には、氏名と連絡先を聞いておきましょう。後で事故状況の言い分が食い違ったときに証人として助けになることもあります。
現場での事故処理後は、ご自身の加入する「保険会社」又は取り扱い代理店にも速やかに事故の連絡をしましょう。 被害者である場合、最終的には加害者側の保険から保険金を支払ってもらう場合も多いですが、 ご自身が加入する人身傷害補償保険(自分の過失分も含めて実際にかかった人身傷害の損害を補償してもらえる保険)や 無保険車傷害保険(相手が任意保険に加入していない場合等に自分の契約する保険から損害賠償の不足分を補償してもらえる保険) により保険金の支払を受ける場合もあります。また、そもそもどちらが被害者であるかについて、争いが生じるケースもありますので、 自分の保険を使う必要がないと決めてかからない方が無難です。
更に、ご自身が加入する保険の特約により、相手に損害賠償請求をするための弁護士の費用の全部又は一部(ほぼ全額)を保険から出してもらうことが出来る場合もあります。 この弁護士費用特約に入っているかどうかは、すぐにご確認頂くことをお勧めします(本人が余り認識せずに特約に加入している場合も多くあります)。 この特約に加入している場合には自分の相談・依頼する弁護士の費用を保険から出して貰うことができますので、安心して弁護士に相談できます。
事案にもよりますが、一般的には、以下のような資料を基に損害額を計算して、加害者や保険会社側に請求していくことになります。中には依頼した弁護士を通じて取得出来るものもありますので、まずはお手元にある資料を基にご相談下さい
- 交通事故証明書
- 診断書(事故直後及び治療終了時のもの)
- 入通院治療費・交通費等の領収書等、入通院証明書等(入通院日数が分かるもの)
- 後遺障害認定に関する資料(後遺障害が残った場合に保険会社側から発行された後遺障害等級の認定票等)
- 休業損害に関する書類(勤務先の発行する休業損害証明書等)
- 事故直前の収入証明(事故前年の源泉徴収票、直近数ヶ月の給与明細書等)
- 保険会社・加害者とやりとりした書類全て
- 物損がある場合は、修理費の領収書、見積書等
- 加害者の刑事事件が有罪判決(略式罰金等)で終了している場合、実況見分調書その他の刑事事件記録の写し
- その他事故に関係する書類、写真等
基本的には、以下の損害項目について、各々の計算方法を元に計算し、合計額を損害として算出して、請求します。(Q13で以下の計算をまとめた具体的な計算例を例示しています)
- ① 治療関係費
- (1)治療費
- (2)付添看護費
- (3)入通院雑費
- (4)通院交通費・宿泊費等
- (5)装具・器具等購入費
- (6)医師等への謝礼
- (7)葬儀関係費用
- ② 収入の減少に関する損害
- (1)休業損害(詳細はQ6参照)
- (2)後遺症による逸失利益(詳細はQ7参照)
- (3)死亡による逸失利益(詳細はQ8参照)
- ③ 慰謝料
- (1)入通院慰謝料(傷害慰謝料)(詳細はQ9参照)
- (2)後遺症慰謝料(詳細はQ10参照)
- (3)死亡慰謝料(詳細はQ11参照)
- (4)近親者慰謝料(詳細はQ11参照)
- ④ 損害賠償請求のための費用
- (1)弁護士費用
- (2)損害賠償請求関係費用
一口に、請求額の基準と言っても、(1)自賠責保険の支払基準(自賠責保険の被害者請求を行った際に用いられる基準)、(2)任意保険会社の支払基準(現在の各保険会社の内部基準なので、公開はされていませんが、一般に、弁護士が代理して請求する場合とそうでない場合とで基準に差をもうけている場合が多いと言われています)、 (3)裁判所での請求段階において参照される支払基準(いわゆる「赤本」基準)等、請求の仕方や段階、事案によって請求額の基準は相当異なりますので、詳細は弁護士にご相談下さい。もちろん事案にもよりますが、弁護士が代理することにより保険会社側の賠償金支払提示額がそれ以前よりも相当増額されるという事案は現実に多く有ります。
休業損害とは、原則として、交通事故の被害者が有職者(給与所得者、事業所得者等)の場合に、交通事故の受傷によって休業した際の現実の収入減少額を損害として賠償の対象にするものを指します。
一般に、休業損害は、治療終了時までの収入減少分を対象とした損害であり、治療終了(症状固定)後の後遺症による将来の収入減少分を対象とする「逸失利益」の損害と区別されます。従って、原則として、給与所得者は勤務先等から取得する休業損害証明書や収入資料に基づいて現実の収入減少額を明らかにし、 事業所得者は、診断書(就労不能期間を示したもの)及び確定申告書等(過去の平均収入、事故後の現実の収入、固定費等を明らかにする資料)に基づいて現実の収入減少額を明らかにします(算定が容易でない事案は弁護士へのご相談をお勧めします)。 但し、現実に収入減がなくても、給与所得者が有給休暇を使用した場合等、休業損害が認められる場合があります。
また、そもそも収入の無い「家事従事者」についても、受傷のために家事労働に従事できなかった期間に関して、一般的な世間の平均賃金額をベースに休業損害が認められる場合があります(賃金センサスの女性労働者の全年齢平均賃金額を基礎に主婦の休業損害を認めた判例として最判昭和50年7月8日等があります)。 更に、家事従事者ですらない「無職者」(失業者等)についても、就労の蓋然性がある者について、一定の休業損害が認められる余地もあり得ます。なお、自賠責保険の支払基準では、 休業損害は、休業による収入の減少があった場合又は有給休暇を使用した場合に1日(実休業日数)につき原則として5700円(これを明らかに超える立証資料等があれば一定の範囲で増額される場合有り)とされています(家事従事者は休業による収入減少があったものとみなされます)。
まず、事故の結果、後遺症が残ってしまった場合、通常の傷害による治療関係費、入通院慰謝料、休業損害等とは別に、「後遺症慰謝料」(詳細はQ10参照)と「逸失利益」を加算して損害賠償請求を行うことになります。
後遺症による「逸失利益」とは、後遺症が残る場合等に、労働能力が喪失又は減少する割合に応じて本来得られるべき将来の収入等も減少してしまうことによる損害のことを指します。
後遺症による逸失利益は、基本的には、以下の計算式により、算出されます。
後遺症による逸失利益=①「基礎収入額」×②「労働能力喪失率」×③「労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数」
①「基礎収入額」とは、原則として事故前の現実の収入(事故前年の源泉徴収票、確定申告書、事故前の給与明細書等から証明)を基礎として算出します。但し、現実の収入が平均賃金以下の場合でも、学生、若年労働者(事故時概ね30歳未満)、家事従事者、高齢者(就労の蓋然性がある場合)、 その他平均賃金が得られる蓋然性が認められる場合に、賃金センサスの全年齢平均賃金等により修正された基礎収入額が認められる場合があります。なお、失業者で就労の蓋然性がある者は、特段の事情のない限り、失業前の収入を参考として基礎収入が認定されます。
②「労働能力喪失率」とは、後遺症により労働能力が失われた割合のことを指し、一般に、以下のように、後遺障害等級により、目安となる労働能力喪失率が定められています(労働省労働基準局長通牒(昭和32年7月2日付け基発第551号)別表労働能力喪失表参照)。 特殊な事案では、以下の等級に基づく割合を超えた労働能力喪失率による逸失利益額を主張する場合も有りますが、詳しくは弁護士にご相談下さい。
後遺障害等級 | 労働能力喪失率 |
---|---|
第1級 | 100% |
第2級 | 100% |
第3級 | 100% |
第4級 | 92% |
第5級 | 79% |
第6級 | 67% |
第7級 | 56% |
第8級 | 45% |
第9級 | 35% |
第10級 | 27% |
第11級 | 20% |
第12級 | 14% |
第13級 | 9% |
第14級 | 5% |
③「労働能力喪失期間」とは、逸失利益の対象となる算定期間を指し、「始期」を原則として「症状固定日」(未就労者の場合、18歳又は大学卒業時)とし、「終期」を原則として67歳とします(症状固定から67歳までの年数が平均余命の2分の1より短くなる高齢者の場合、平均余命の2分の1の年数を労働能力喪失期間とします)。
平均余命は、一般に統計資料の簡易生命表の年数が用いられます。むちうち症の場合、例えば、後遺症12級で10年程度、14級で5年程度以内の労働能力喪失期間分しか逸失利益を認めない旨の主張を加害者(保険会社)側がしてくることも多いです(一定程度、喪失期間が制限される裁判例も存在していることは事実です)が、明確な基準がある訳ではなく、 保険会社側が必要以上に喪失期間を短縮させようと主張していると見られる場合もありますので、弁護士に相談の上、的確な主張・反論をしていくことが望まれます。「ライプニッツ係数」とは、将来の減収分に対応した損害賠償額を、現時点で先払いのような形で受け取る際に(損害賠償金は一括払が原則であるためこのような問題が生じます)、 賠償金受領者が利息等の運用利益を得ること等を考慮し、中間利息控除するために労働能力喪失期間を修正した係数のことを指します。 平成29年民法改正(平成32年4月1日施行)前の損害賠償実務においては、年5%の複利式計算を前提にしたライプニッツ係数が原則的に採用されてきました。上記改正民法施行後は、まず法定利率が年3%に変更され、以後、3年毎に見直しされることとなり、損害賠償請求権が生じた時点の法定利率により中間利息を控除することとされています。
従って、労働能力喪失期間に対応して、実際に受領できる逸失利益額は、単純計算した将来の逸失利益額よりも相当減少することになります。例えば、労働能力喪失期間が15年の場合でも、これに対応するライプニッツ係数は10.3797ですので、一括で将来の損害の先払いを受けることが出来る代わりに、 15年分の逸失利益(減収分の損害)額が約10年分余になってしまうということにもなります。
参考までに、後遺症の逸失利益の計算例を以下に記載します。
<基礎年収600万円の被害者が52歳で10級の後遺障害を負った事例>
後遺症による逸失利益=①基礎収入額600万円×②労働能力喪失率27%×③労働能力喪失期間(15年)に対応するライプニッツ係数10.3796=1681万4952円
以下に、上記のライプニッツ係数(利率年5%による)の一部を抜粋します。
労働能力喪失期間 | ライプニッツ係数 |
---|---|
1年 | 0.9523 |
2年 | 1.8594 |
3年 | 2.7232 |
4年 | 3.5459 |
5年 | 4.3294 |
6年 | 5.0756 |
7年 | 5.7863 |
8年 | 6.4632 |
9年 | 7.1078 |
10年 | 7.7217 |
11年 | 8.3064 |
12年 | 8.8632 |
13年 | 9.3935 |
14年 | 9.8986 |
15年 | 10.3796 |
ご参考までに、以下に、ライプニッツ係数(改正民法施行後当初の利率年3%による)の一部を抜粋します。
労働能力喪失期間 | ライプニッツ係数 |
---|---|
1年 | 0.9709 |
2年 | 1.9135 |
3年 | 2.8286 |
4年 | 3.7171 |
5年 | 4.5797 |
6年 | 5.4172 |
7年 | 6.2303 |
8年 | 7.0197 |
9年 | 7.7861 |
10年 | 8.5302 |
11年 | 9.2526 |
12年 | 9.9540 |
13年 | 10.6350 |
14年 | 11.2961 |
15年 | 11.9379 |
死亡による「逸失利益」とは、死亡した場合に、生きていれば本来得られたであろう将来の収入等の減少分の損害のことを指します。死亡による逸失利益は、基本的には、以下の計算式により、算出されます。
- 死亡による逸失利益(年金収入以外)=「基礎収入額」×(1−「生活費控除率」)×「就労可能年数に対応するライプニッツ係数」
- 死亡による逸失利益(年金収入)= 「年金収入額」×(1−「生活費控除率」)×「平均余命年数に対応するライプニッツ係数」
基礎収入額は、Q7の①「基礎収入額」を参照して下さい。
但し、後遺症の事案とは異なり、死亡の場合、年金受給権を喪失しますので、年金(老齢年金、障害年金)の額も、別途、逸失利益の対象となり得ます(遺族年金は、判例上、逸失利益性が認められていません)。生活費控除率が給与収入等より年金収入の方が高く計算されることが多く、対象年数の考え方も通常異なるため、 年金収入とそれ以外の収入とでそれぞれ逸失利益額を計算する形となります。就労可能年数に対応するライプニッツ係数も、Q7の③「労働能力喪失期間」「ライプニッツ係数」の説明とほぼ重複しますが、 死亡による逸失利益の場合特有の点として、死亡により失われた「年金の逸失利益」を計算する場合の就労可能年数は、平均余命年数」により計算されます(就労出来なくても死亡時まで受給できるという年金の性質からくる考え方です)。
「生活費控除率」とは、死亡した被害者が将来の収入を失った反面、将来負担すべき生活費も必要なくなったことから、その分だけ一定割合を損害から控除するという考えに基づく控除率を指します。 この点、裁判所が一般的に参考とする基準(いわゆる「赤本」基準)としては、死亡した被害者の立場に応じて、以下のような生活費控除率が用いられることが多いとされています。
- 一家の支柱であった場合
①被扶養者1人の場合・・・生活費控除率40%
②被扶養者2人以上の場合・・・生活費控除率30% - 女性(主婦、独身、幼児等を含む)・・生活費控除率30%
- 男性(独身、幼児等を含む)・・・生活費控除率50%
- 年金部分・・・上記より高い生活費控除率を用いることが多い
参考までに、死亡の逸失利益の計算例を以下に記載します。
<基礎年収600万円の被害者(被扶養者1人)が52歳で死亡した事例>
死亡による逸失利益=基礎収入額600万円×(1−生活費控除率40%)×就労可能年数(15年)に対応するライプニッツ係数10.3796=3736万6560円
自賠責保険の支払基準では、原則として入通院1日につき4200円とされています。他方、裁判所が一般的に参考にする基準(いわゆる「赤本」基準)としては、以下のような表に基づき、入通院各々の期間に応じた慰謝料額相場が設定されています。
入通院慰謝料(単位:万円)
※右にスクロールしながらご覧ください
- | 入院 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 13月 | 14月 | 15月 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
通院 | 53 | 101 | 145 | 184 | 217 | 244 | 266 | 284 | 297 | 306 | 314 | 321 | 328 | 334 | 340 | |
1月 | 28 | 77 | 122 | 162 | 199 | 228 | 252 | 274 | 291 | 303 | 311 | 318 | 325 | 332 | 336 | 342 |
2月 | 52 | 98 | 139 | 177 | 210 | 236 | 260 | 281 | 297 | 308 | 315 | 322 | 329 | 334 | 338 | 344 |
3月 | 73 | 115 | 154 | 188 | 218 | 244 | 267 | 287 | 302 | 312 | 319 | 326 | 331 | 336 | 340 | 346 |
4月 | 90 | 130 | 165 | 196 | 226 | 251 | 273 | 292 | 306 | 316 | 323 | 328 | 333 | 338 | 342 | 348 |
5月 | 105 | 141 | 173 | 204 | 233 | 257 | 278 | 296 | 310 | 320 | 325 | 330 | 335 | 340 | 344 | 350 |
6月 | 116 | 149 | 181 | 211 | 239 | 262 | 282 | 300 | 314 | 322 | 327 | 332 | 337 | 342 | 346 | |
7月 | 124 | 157 | 188 | 217 | 244 | 266 | 286 | 304 | 316 | 324 | 329 | 334 | 339 | 344 | ||
8月 | 132 | 164 | 194 | 222 | 248 | 270 | 290 | 306 | 318 | 326 | 331 | 336 | 341 | |||
9月 | 139 | 170 | 199 | 226 | 252 | 274 | 292 | 308 | 320 | 328 | 333 | 338 | ||||
10月 | 145 | 175 | 203 | 230 | 256 | 276 | 294 | 310 | 322 | 330 | 335 | |||||
11月 | 150 | 179 | 207 | 234 | 258 | 278 | 296 | 312 | 324 | 332 | ||||||
12月 | 154 | 183 | 211 | 236 | 260 | 280 | 298 | 314 | 326 | |||||||
13月 | 158 | 187 | 213 | 238 | 262 | 282 | 300 | 316 | ||||||||
14月 | 162 | 189 | 215 | 240 | 264 | 284 | 302 | |||||||||
15月 | 164 | 191 | 217 | 242 | 266 | 286 |
裁判所が一般的に参考にする基準(いわゆる「赤本」基準)としては、後遺症慰謝料は以下のとおりです。
後遺障害等級は1級から14級まであり、その中では1級が一番重い後遺障害となりますが、一般に、後遺障害等級に応じて、慰謝料額も段階的に変動します (以下の表はあくまで裁判実務上の目安として用いられるものであり、等級に応じて、常にこの通りの慰謝料額になる訳ではありませんので、詳細は弁護士にご相談下さい)。
後遺障害等級 | 被害者本人の後遺症慰謝料額 |
---|---|
第1級 | 2800万円 |
第2級 | 2370万円 |
第3級 | 1990万円 |
第4級 | 1670万円 |
第5級 | 1400万円 |
第6級 | 1180万円 |
第7級 | 1000万円 |
第8級 | 830万円 |
第9級 | 690万円 |
第10級 | 550万円 |
第11級 | 420万円 |
第12級 | 290万円 |
第13級 | 180万円 |
第14級 | 110万円 |
交通事故によりお亡くなりになられてしまった場合、その相続人の方々が、損害賠償請求権を相続するのが原則ですが、その場合、裁判所が一般的に参考にする基準(いわゆる「赤本」基準)としては、死亡慰謝料額は以下のとおりとされています。
- 死亡された方が一家の支柱であった場合・・・2800万円
- 死亡された方が母親、配偶者であった場合・・2400万円
- 死亡された方が上記以外(独身の男女、子ども、幼児等の場合)
上記は、近親者(亡くなられた方の父母、配偶者、子等)が法律(民法711条)に基づいて取得する「近親者慰謝料」も含めた額です。この基準は、具体的な斟酌事由によって増減されるべきで、一応の目安を示したものに過ぎませんので、具体的な事案に基づく請求額等につきましては、弁護士にご相談下さい。
交通事故は、どちらかが100%悪いという事案もありますが、どちらにも一定の落ち度があるというケースも多くあります。
その場合、例えば、起きた事故に対して、被害者側にも2割程度の落ち度があると評価される事案であれば、被害者側の過失割合が20%、加害者側の過失割合が80%などという言い方をされ、被害者が加害者に対して損害賠償請求出来る額が、その分制限されることになります。 事故態様の類型に応じて、一般的な過失割合やその修正要素等については、裁判上で参考にされることが多い過失相殺の基準として発表されているものはあります(例えば、東京地裁民事交通訴訟研究会編『民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準』別冊判例タイムズNo.16、判例タイムズ社、全訂4版、平成16年)。
しかし、実際に起きる事故の中には、上記の一般的な過失相殺の基準に当てはめることが困難な事案も多くありますし、修正要素一つを取っても、その事例で修正可能なのかどうかということは容易に判断出来ないケースもあります。 このように実際に事案における過失割合の認定は、流動的な面がありますので、加害者や保険会社側が、被害者側の過失割合を高めにして主張してくることも多くあります。
そして、そのような事案で弁護士が代理人に付き、鋭意交渉をすることによって、最終的に、加害者側が当初主張していた過失割合を大幅に修正して、被害者に有利に解決に至る事案も多くあります。そこで、過失割合が争いになっているような事案では、まずは弁護士に相談をすることをお勧め致します。
後遺障害を負った事例について、以下、ご計算例を示します(最初に請求をする時点での一例であり、分かりやすくするために計算を敢えて単純化しています。実際の類似事案でこのとおりの額が当然に認められるということではありませんのでご留意下さい)。
<年収600万円の被害者が52歳で10級の後遺障害を負った事例>
H24.1.1に事故。1ヵ月入院(H24.1.1〜H24.1.31)、5ヶ月通院(H24.2.1〜H24.6.30)、H24.6.30に症状固定(固定時の年齢52歳)、後遺障害10級の認定、過失割合20%、治療費実費は保険会社から既に支払済という前提
- ① 治療関係費
- (1)治療費
- 120万円(実費)
- (2)入通院雑費
- 4万6500円(1日1500円×31日)
- (3)通院交通費
- 10万円(実費)
- ② 収入の減少に関する損害
- (1)休業損害 (Q6参照)
- 50万円(1ヶ月間全て休業という前提。年収600万円÷12ヶ月)
- (2)後遺症による逸失利益(Q7参照)
- 1681万4952円
- (年収600万円×後遺障害10級の労働能力喪失率27%×労働能力喪失期間15年に対応するライプニッツ係数10.3796)
- ③ 慰謝料
- (1)入通院慰謝料(傷害慰謝料)(Q9参照)
- 141万円(入院1ヶ月、通院5ヶ月の場合の入通院慰謝料基準表の額)
- (2)後遺症慰謝料(Q10参照)
- 550万円(後遺障害10級相当の慰謝料額)
- ④ 損害合計
- 2557万1452円
- (治療費120万円+入院雑費4万6500円+交通費10万円+休業損害50万円+逸失利益1681万4952円+入通院慰謝料141万円+後遺症慰謝料550万円)
- ⑤ 過失割合
- 被害者の過失割合が20%(加害者の過失割合が80%)
- ⑥ 過失相殺後の損害額
- 2045万7161円(損害額合計2557万1452円×加害者の過失割合80%)
- ⑦ 既払金
- 治療費120万円
- ⑧ 既払金控除後の最終的な損害賠償請求残額
- 1925万7161円(過失相殺後の損害額2045万7161円−既払金120万円)
文責:今井 史郎
以上は基本的事項が中心ですが、具体的な事実に即した解説は、直接当事務所の弁護士までお問い合わせください。